「事実は小説より奇なり」 その1
なに、なんでもないことだよ。
心でみなくちゃ、物事はよく見えないってことさ
サン=テグジュペリ 『星の王子様』より
人間 こうも長くやっていると あまりに多くの出来事が
起きたりして そのたびに家族の絆も複雑に絡まり
家族について 何かひとつのことについて書くには
それに付随して 時系列で説明をしないと話は繋がらない。
なので 最近では面倒くさいので 自分の身上については
あまり展開しないようにしている。
ところが このところ二晩続けて遠くに暮らすふたりの弟と
電話をする機会があり それぞれの近況を聴くことができた。
これから先は ちと長くなるので
お時間とお暇のある方は 覗いてみてくださいな。
わたしには 2歳と7歳違いのふたりの弟がいる。
だが 一緒に暮らした期間は短い。
わたしが9歳 上の弟が7歳 下の弟が2歳のときに
家族は離散した。
終戦から2年経った頃に 25歳の父は戦地から復員して
きたらしい。
母がわたしを身ごもって すぐに召集令状がきたので
ヨチョヨチ歩きのわたしとは そのときが初対面だった。
もちろんわたしにその記憶はない。
日本中が貧しく 食糧難 就職難の時代に その後ふたりの
弟たちも生まれて 生活苦にあえぐ父は
次第に酒に溺れていった。
毎晩のように 繰り返される母へのDVは壮絶で その危害は
わたしにまで及ぶようになった。
わたしの父親像は 怖い人 幼いわたしを丁稚のようにこき使う人
彼に名前を呼ばれると 必ずなにか悪いことが起きる・・・という
ネガティブなものだけが 刷り込まれていった。
28歳の母が 夫のDVから逃れるために 背中に赤児を背負い
わたしと上の弟の手を引き 暗い夜道を
往くあてもなくさまよう。
毎晩繰り返されるそんな生活に 命の危険を感じた母が
ピリオドを打った。
そして協議の末 婿養子だった父が 弟二人を連れて
信州の実家へ戻り わたしと母と借金だけが
庇の拉げた二軒長屋の 借家に残された。
柱時計もちゃぶ台も 布団さえも父が持って出て行った。
その後 母とわたしの激動の生活がはじまり
父親に連れて行かれた ふたりの弟にもそれぞれ過酷な
運命が待ち受けていた。
はぁ~! もう長い~~ 今日はここまでにしておきます。
今日も ありがとうございます。
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