「事実は小説より奇なり」 その2
砂漠が美しいのは、
どこかに井戸を隠しているからだよ
サン・テグジュぺリ『星の王子様』より
その後・・・
母はわたしを育てるためにも また米屋の借金を返すためにも
家賃を払うにも まず働かなければならなかった。
戦争で学ぶ時間もなかった母の青春時代 学歴も資格もない
夜の仕事を選ぶしか 生きる道はなかったと思う。
でもそこからが わたしにとって母が反面教師となっていった
ことは事実である。
子どもの時代には知らなくてもよいこと おとなたちの裏の裏
醜いと思った。
ひたすらわたしは そこでは存在していない子として振舞った。
殻に閉じ籠り 「信じられるのは自分だけ」 と思い込むようにも
なっていった。
やがて母はしてはいけない人との 激しい恋に身を焦がし
すったもんだの挙句 わたしの反対 周囲の反対を押し切り
相手の離婚成立を待って再婚した。
そのときわたしは16歳。
それまでも 母とわたしは立場が逆転していて
自分軸がブレる母を わたしが母親のようにサポートしていた。
だから 養父との生活のなかでも 自分のことで
母の立場が悪くなることだけは 避けたかった。
その家には病弱な姑も居て いつも布団わきに置かれた
長火鉢の灰を 額に青すじをたてて癇性に降るっている姿が
いまだに目に焼きついている。
三度三度の食事は なぜかその病人の枕もとに座卓を広げて
食べるのだった。
チクチクと嫌味を言われながら食べる食事は とうてい
喉を通るものではない。
姑にしてみれば 前の嫁さんとの折り合いが悪かったとはいえ
後妻は後妻で 縁もゆかりもない子連れだもの 苦々しく
思っていたことはたしかである。
あれ~っ! またまた 長くなってしまうがな~展開し過ぎだ~
今日も ありがとうございます。
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